パワークリーン(ハイクリーン)の効果とやり方について確認していきましょう。フォームを習得出来れば、大きな効果が期待できる全身の筋トレです。
パワークリーン(ハイクリーン)の効果とやり方について確認してみましょう。
陸上競技や格闘技で「もっと強くなりたい」、「活躍したい」と願うなら、パワークリーンを行ってみるのが良いかも。
パワークリーンは、筋トレとしても効果の高いエクササイズで、全身の連動性を高めながら発揮できる瞬発力をアップさせ、様々なスポーツのパフォーマンス向上にうってつけなトレーニング。
その証拠にアメリカの強豪ジム、ジャクソンズMMAの指導者、グレッグジャクソンも選手たちが全身トレーニングを行う際には、ベンチプレスよりもこのパワークリーン(ハイクリーン)の方が効果的だと考えて、筋トレメニューに取り入れていたそう。
それほど、このパワークリーン(ハイクリーン)は、実戦競技を行う人にとって、効果の高い全身の筋トレ種目です。
そのハイクリーンのやり方やフォーム、そして効果などを詳しく解説していきます。
- パワークリーン(ハイクリーン)とは?【概要】
- パワークリーン(ハイクリーン)のやり方とフォーム
- パワークリーン(ハイクリーン)のやり方とフォームのポイント
- パワークリーン(ハイクリーン)の筋トレ効果
- パワークリーン(パワークリーン)の注意点※フォームに気をつけましょう!
- パワークリーン/ハイクリーンの効果とやり方|フォームに気をつけて全身の筋トレ!
パワークリーン(ハイクリーン)とは?【概要】
パワークリーン、又の名をハイクリーンと呼ばれるエクササイズは、主にウェイトリフティング(重量挙げ)の競技、例えばクリーン&ジャークなどの予備練習として、用いられることの多いトレーニング種目。
また、一部の筋トレ中級者以上やアスリートの間では、全身を鍛える目的で取り組まれることもある、全身の筋トレ種目と表現しても良いかもしれないトレーニングです。
その「全身」という言葉が示す通り、動作の中には、
- 足関節
- 膝関節
- 股関節
- 肩関節
- 肘関節
- 手関節
の動きが含まれることになり、下腿三頭筋(ふくらはぎの腓腹筋とヒラメ筋の総称)、大腿四頭筋、ハムストリング、臀筋群、脊柱起立筋、僧帽筋、三角筋、そして前腕の筋肉群、また細かく見れば腹筋なども含めた、多くの筋肉が関与していくことになります。
さらに、動作を瞬間的に爆発的な動きで行っていくため、全身を使った瞬発力を伸ばせていけるといった特徴もあります。
ただし、パワークリーン(ハイクリーン)の動作の中には、複数の動きが含まれ、相応のテクニックや筋力が必要とされるため、筋トレ中級者以上の経験値が最低でも求められることになります。
また、実践するにあたって、基本的にはバーベル(ダンベルを利用したバリエーションもある)と、専用の広いスペースが必要です。
パワークリーン(ハイクリーン)は、動作の中で複数の関節動作が含まれるため、トレーニングの分類としては、多関節種目(コンパウンド種目)のトレーニングとして分類されることになります。
パワークリーン(ハイクリーン)のまとめ | |
---|---|
運動のタイプ | ウェイトリフティング |
筋トレタイプ | コンパウンド |
筋トレレベル | 中級+ |
力の出し方 | 引く力 |
必要な道具 | バーベル(又はダンベル) |
メインターゲット筋肉 | 全身の筋肉 |
パワークリーン(ハイクリーン)のやり方とフォーム
パワークリーン(ハイクリーン)のフォームは、素早く行うため、一見するとそこまで複雑そうではありませんが、実際にはいくつかの動きを連続して行うためかなり複雑です。
そのため、ここでは5つのフェーズに分けて詳しく解説していきます(※ただし実際は途切れることなく、それぞれのフェーズを連続して行っていく)。
また、ダンベルを利用したやり方もありますが、最も一般的なバーベルを利用したやり方について見ていきます。]
パワークリーン(ハイクリーン)のやり方とフォーム詳細
フェーズ1(開始のポジション作り)
パワークリーンは、初めから最後までとても速い動きで一気に行っていくため、最初のポジションのフォームを正しく作れるかどうかが、とても重要になってきます。
- バーベルを床に置いて、その前に立ちます
- 両足は腰幅かそれより少し広めに開いておきます
- 両足の指は気持ち外側へ向けておきましょう
- バーの下にちょうど足の甲の中心辺りが来るようにします
- 膝を軽く曲げて腰を少し落とし、上体を前傾させ、バーを握ります
- 腰は膝より高くなった体勢にします(デッドリフトの体勢)
- バーベルを持つ手幅は肩幅より多少広めにしておきます
- 肩はバーベルより前に出るようにします
- 胸を張って自然と背すじを伸ばします
- 顔は正面を見るようにしましょう
- 両腕はしっかりと伸ばしておきます
- 肩甲骨も自然と寄せておきましょう
フェーズ2(第一のプル「引く動作」)
この最初のプルのフェーズは、バーベルを床から離して膝辺りまで上げていくフェーズ。いわゆるデッドリフトでバーベルを床から離していく動作に近いものになります。また、動作は一連の流れの中では比較的ゆっくりになります。
- 体重をカカト側へ移動させます
- 股関節と膝関節を伸ばし始め、バーを床から上げていきます
- バーベルは出来るだけスネに近づけて行っていきましょう
- 背すじは伸ばしたまま行っていきます
- 動作中は肘は曲げないようにしましょう。
フェーズ3(トランジション/スクープ「移行」)
このフェーズ3は、膝を超えたバーベルが太ももの中間辺りまでに達するフェーズ。腰に不安があったり、腰に負担をかけたくない場合は、このフェーズ3から行うことで、ハングクリーンというトレーニング種目にもなります。
- 腰をさらに前に移動させ、膝もさらに伸ばしながらバーを上げていきます
- 膝を通過したバーベルが太ももの中間辺りに上がるまでは、この股関節と膝関節の伸展動作を中心に行っていきます
- 引き続きカカトに重心を置いておきます
フェーズ4(第二のプル「引く動作」)
このフェーズ4は、太もも中間を通過したバーベルをさらに高く上げていくフェーズ。「ジャンプ」と肩をすくめる「シュラッグ」の動作を爆発的に行って、出来る限りバーを引き上げていきます。フェーズ3からの連続でこのフェーズ4を行うと、そこまでバーを「上げる」感覚はなく、動作を続けていくことが出来ます。
- フェーズ3から続く股関節と膝関節の伸展を最大限に行っていきます
- 同時に、ジャンプをするような感じでカカトを床から離していきます
- 肩をすくめ、上方向に上がるバーに力を加えて、さらに引き上げていきます
- 下半身それぞれの関節が、完全に伸展したと同じぐらいのタイミングで肩をすくめていきましょう
- バーベルは出来る限り体に近づけておきます
- すくめた肩が最も高い位置に到達したと同時に、肘を外側へ曲げていきます
フェーズ5(キャッチ)
このフェーズは、上に引き上げたバーベルを肩前面でキャッチするフェーズ。最も簡単そうに見えて、パワークリーンの中では最も小手先のテクニックが必要なフェーズでもあります。
- フェーズ4の動作で最も高くバーベルが上がったら、その下に体がくるようにします
- 腰と膝を軽く曲げていきましょう
- 背すじは伸ばしたままにしておきます
- 外側へ曲げた肘は前方へ動かしてバーベルの下にくるようにします
- グリップは緩めて手首は上向きにしていきましょう
- 肩前面でバーベルをキャッチします
- バーベルは肩の三角筋前面と鎖骨の上辺りにくるようにします
- バーベルをキャッチしたら股関節と膝関節を最後までしっかりと伸ばしていきます
パワークリーン(ハイクリーン)のやり方とフォームのポイント
パワークリーン(ハイクリーン)のやり方の中では、どのフェーズもそれぞれ重要になってきますのが、その中でもポイントとして抑えておきたいのがフェーズ3。
つまり、バーベルが膝を超えて太ももの中間に到達するまでの間。
というのも、パワークリーンは、一見するととても力がいるトレーニングに見えますが、実はこのフェーズ3の中で、股関節と膝関節を伸ばす動作をどれだけ爆発的に行えるかが鍵であり、フェーズ3が正しく出来れば、その後のフェーズはそこまで大きな力を必要としないで完成出来るから。
そのため、フェーズ2までは比較的ゆっくりと股関節伸展と膝関節伸展を行ってエネルギーを溜めながら、徐々に加速するようにして、フェーズ3で思い切り爆発的な力を出していくようなイメージで行っていきましょう。
また、バーベルをスムーズに上げることもポイントで、そのためには出来る限りバーベルが、体の側を通過していけるようにすることが大切。
それには、スタートポジションが重要になります。
セット時には、肩がバーベルの前にやや出ているようにして、バーベルの下に足の甲の中心辺りがくるようにしておきましょう。
パワークリーン(ハイクリーン)のやり方とフォームのポイントのポイントまとめ
- トランジション(スクープ)のフェーズ3がとても大切
- フェーズ2までは徐々に股関節伸展と膝関節伸展を行ってパワーを溜める
- フェーズ3で一気に股関節伸展と膝関節伸展を爆発的に行う
- バーベルをスムーズに上げるように心がける
- セット時に肩がバーベルの前にやや出ているようにする
- また、セット時にバーベルの下に足の甲の中心付近が来るようにする
パワークリーン(ハイクリーン)の筋トレ効果
パワークリーン(ハイクリーン)は正しいフォームとやり方で行えば、主に体の背面を中心に様々な筋肉を鍛えられ、同時に複数の筋肉や関節を動かしていくことで、全身の連携強化といった効果を期待できます。
また、全身の筋肉を爆発的に使っていき、発揮出来る瞬発力を高めていく効果が高いため、様々なスポーツ分野での活用が可能。
特に発揮出来るパワーが高まることで、パワーを要する格闘技や重量挙げなどのスポーツには、直接的な効果が期待できます。
他にも、足関節・膝関節・股関節を爆発的に伸展させて、下半身の全体の瞬発力を劇的に向上させるといった効果もあるため、ジャンプ力やスプリント能力が重要な競技にとっても、有効になってきます。
筋トレ全般のパフォーマンスアップにも効果的
さらに、パワークリーン(ハイクリーン)は、競技のパフォーマンスアップ以外にも、普段行っている筋トレにも効果があると言えます。
まず第一に、パワークリーンでは、瞬間的に大きな筋力発揮を繰り返すことで、筋肉を動かすために働くモーターユニットを、より多く関与させていくといった効果がある。
このモーターユニットは、「一つの運動を司る神経と複数の筋繊維」が合わさった単位で、反応する数が多ければ多いほど、その筋肉が発揮できる筋力が大きくなるとされるもの。
そのため、パワークリーンを繰り返して、より多くのモーターユニットが関与するように訓練していくと、通常の筋トレ動作であっても大きな筋力を発揮して、高重量のウェイトを持ち上げていけるようになるといった効果が期待出来るかもしれない。
また、パワークリーン(ハイクリーン)では、動作の中で力強い体幹を必要とするため、体幹力も飛躍的に向上出来る。
すると、例えばフロントスクワットやバーベルランジなど、体のバランス力を必要とする筋トレで、安定期に動作を繰り返していくといったことに繋がったりする。
さらに、体幹を力強く扱えるようになることで、他のコンパウンド系の筋トレ種目でも、もっと大きなパワーを発揮していけるようになったりといったことも期待出来るようになる。
これらの理由から、パワークリーン(ハイクリーン)を繰り返すことは、他の筋トレ種目全般のパフォーマンスを高めることにも役立つと考えられるのです。
パワークリーン(パワークリーン)の注意点※フォームに気をつけましょう!
パワークリーン(ハイクリーン)は、正しいやり方を行うために、しっかりとフォームを習得しなければ、大けがに繋がる危険性もある筋トレ種目。
開始するには、まず専門のトレーナーの下で、時間を掛けてでも正しいフォームを学ぶようにしていきましょう。
基本的には、パワークリーンを正しく出来るには、相応に長い時間が掛かるという前提で焦らずに行っていくのが大切です。
また、練習に取り組み始めたばかりの頃は、ウェイトをつけなくても良いので、軽いバーだけでフォームを習得するのもおすすめ。
フォームを習得してからウェイトを徐々に増やしていくと、怪我の不安も少なくなり、より安心してトレーニングを行えます。
そして、パワークリーン(ハイクリーン)は、全身の力を爆発的に使い、多くの筋肉が動作に関与するため、代謝を向上させるためにも効果的。
しかし、だからと言って繰り返す回数を増やし過ぎたり、休憩の間隔を短くしすぎないように気をつけましょう。
複数の筋肉や関節に大きな負担が掛かり、怪我のリスクが高まってしまいます。
パワークリーン/ハイクリーンの効果とやり方|フォームに気をつけて全身の筋トレ!
本来はウェイトリフティングのエクササイズでありながら、多くのスポーツのパフォーマンスアップはもちろんのこと、他の筋トレ種目のパフォーマンスを高めるためにも効果的な、パワークリーン(ハイクリーン)の効果とやり方について見てきました。
このパワークリーンは、その特徴である瞬発的な動きを繰り返していくことで、普段の筋トレとは違う刺激を筋肉に与えることができ、プラトー(筋トレの停滞期)を打破するなんて使い方としても効果を期待出来たりします。
ハイクリーンは、多くの回数(高レップ)を連続で行う必要はなく、2~4レップを出来るぐらいの負荷で行い、セット間インターバルと長め(3分程度)に取りながら、5セット程度を目指して行っていきましょう。
少し珍しい筋トレで、中級者以上でないと行うことが難しいトレーニングなので、ジム内で行えば、それだけで羨望の眼差しを感じること間違いなし。ジム内でも一目置かれる存在になります。
このパワクリーン(ハイクリーン)、やり方を覚えたら、早速チャレンジして、周りに自慢していきましょう!