インクラインベンチプレスの効果とやり方を解説していきます。体の角度を変えることで、大胸筋上部を鍛える筋力トレーニングです。
インクラインベンチプレスの効果とやり方を知っていますか?
インクラインベンチプレスは、大胸筋を鍛える筋トレの代表、ベンチプレスの応用編として知られる筋トレ種目。
大胸筋を鍛える筋トレの中でも特に上部を鍛え、盛り上がったカッコイイ胸元をつくりたい人に効果の高いトレーニングです。
床に平行に仰向けになるのではなく、ベンチの角度を変えて体を斜めに起こして仰向けになるのが、通常のベンチプレスとの違いで、筋肉への効き方を変化させることで、通常のベンチプレスと上手に組み合わせれば、大胸筋の飛躍的な発達につながります。
通常のベンチプレスができるようになったら、このインクラインベンチプレスを筋トレメニューに加えて、効果的に大胸筋を鍛えるようにしましょう。
インクラインベンチプレスの効果とやり方を確認していきます。
- インクラインベンチプレスとは?【概要】
- インクラインベンチプレスのやり方
- インクラインベンチプレスのやり方のポイント
- インクラインベンチプレスの筋トレ効果
- インクラインベンチプレスの注意点
- インクラインベンチプレスの効果とやり方|角度を変えて大胸筋上部を鍛える筋力トレーニングのまとめ
インクラインベンチプレスとは?【概要】
インクラインベンチプレスは、別名、インクラインプレスとも呼ばれ、頭が上に来るように体を斜めにするインクラインベンチを利用して行うベンチプレスのバリエーション。
フラットベンチで行う通常のベンチプレスでは、身体に対して垂直に腕を伸ばしてウェイトを挙上していくのに対して、インクラインの体勢では、身体に対して斜め上方に腕を伸ばしていきます。
そのため、動作の中では肩関節水平内転(腕を水平面で前方へ振る際に起こる関節動作)が、斜め上方に起こることになり、また、そこには肘を伸ばす肘関節伸展も加わることになります。
結果として、肩関節水平内転の主力筋(注1)として働く大胸筋の中でも、特に上部へ負荷を集中しやすくなり、その大胸筋上部を中心に、肩関節水平内転の主働筋(注2)の一つである三角筋(前部)と、肘関節伸展の主力筋である上腕三頭筋もサブターゲットとして鍛えていきます。
このインクラインベンチプレスに取り組むには、基本的に、角度をインクラインに調整できるインクラインベンチやマルチベンチといったトレーニングベンチに加え、ダンベルやバーベル、スミスマシン、また、専用のインクラインプレスマシンなど、いくつかの器具やマシンが必要。
ただし、比較的動作もシンプルであるため、軽い負荷に調整すれば初心者からでも取り組んでいける筋トレ種目だと言えます。
ちなみに、インクラインベンチプレスの中では肩関節と肘関節が含まれるため、トレーニングの分類としては、複数の関節動作が含まれる多関節種目(コンパウンド種目)になります。
- 注釈1:主力筋とは主働筋の中でも特に中心となって働く筋肉
- 注釈2:主働筋とは対象となる関節動作に対して中心となって働く筋肉群
インクラインベンチプレスのまとめ | |
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運動のタイプ | 筋力トレーニング |
筋トレタイプ | コンパウンド |
筋トレレベル | 初級 |
力の出し方 | 押す力 |
必要な道具 | インクラインに調整できるトレーニングベンチ(専用のマシンやスミスマシン)・バーベル・ダンベル |
メインターゲット筋肉 | 大胸筋(上部) |
インクラインベンチプレスのやり方
インクラインベンチプレスのやり方には、ダンベルやバーベル、スミスマシンや専用のインクラインプレスマシンを利用したものなど様々なバリエーションがありますが、ここでは最も基本となる、バーベルを利用したインクラインベンチプレスのやり方を解説していきます。
ラックに掛かったバーべルに、適切な重量のウェイトをセットします(※通常のベンチプレスより扱える重量は軽くなります)。
次に、ラックの前にインクラインベンチを設置して、背もたれを30~45度程度斜めに調整します。
そして、ベンチに腰掛けてバーベルを握ります。
この時、両足をしっかりと床へつけて、踏ん張れるようにしておきましょう。また、肩甲骨は寄せて胸を張り、背中は自然なアーチを作り、バーベルを握る手幅は肩幅より広めに開いておきます。
ラックからバーベルを外して、腕を伸ばしたまま胸の前上に持っていきます。これがスタートのポジションです。
ゆっくりと、胸の上部または鎖骨辺りを目安にして、バーベルを下ろしていきます。
その後、肘を伸ばしてバーベル上げていき、繰り返していきます。
インクラインベンチプレスのやり方まとめ
- ラックに掛かったバーベルにウェイトをセットします
- 通常のベンチプレスより扱える重量は軽くなります
- ラックの前にインクラインベンチを設置して、背もたれを斜めに調整します
- もしも特定の角度の指定がなければ、30~45度を基本として行ってみましょう
- 角度を低くすればより大胸筋へ、高くすれば肩の前部へ刺激が強くなります
- ベンチに腰掛けてバーベルを握ります
- 足の裏でしっかりと地面を踏んで、力が入るようにしておきます
- バーベルは肩幅より少し広めに握っておきましょう
- 肩甲骨は寄せて胸を張り、背中は自然なアーチがつくようにします
- ラックからバーベルを外して、腕を伸ばしたまま胸の前に持ってきます
- これがスタートのポジションです
- 肘を曲げてゆっくりとバーベルを下ろしていきます
- 胸の上部または鎖骨を目安に下ろしていきましょう
- 下ろした時に体にバーベルが当たらないようにしましょう
- できる限り深く下ろしていきます
- その後、バーベルを再び上げていき、繰り返していきます
- 上げる時は反動を使わないようにしましょう
インクラインベンチプレスのバリエーション① ダンベルインクラインベンチプレス
ダンベルインクラインベンチプレスは、その名前の通りダンベルを利用したインクラインベンチプレスのバリエーション。
ダンベルを利用することで、バーベルより深く肘を下ろしていくことができるため、大胸筋上部をより強くストレッチさせて、大きな負荷を掛けていくことが可能。
筋肉を深くストレッチした状態で負荷を掛けていくことは、筋肉の成長を促進するためにも効果的。
バーベルの高重量とダンベルの広い可動域を利用して定期的に大胸筋を刺激していけば、効率的に大胸筋上部の増強につながってくると言えます。
インクラインベンチプレスのバリエーション② スミスマシンインクラインベンチプレス
インクラインベンチプレスに取り組むに当たって、スミスマシンを利用して行うバリエーション。
スミスマシンは、両端にあるガイドに沿ってバーを挙上していけるため、上げ下げの軌道が固定され、動作がブレないのが最大のメリット。
そのため、フォームも安定して、初心者であったとしても比較的高重量を扱っていけることになります。
インクラインベンチプレスのバリエーション③ マシンインクラインベンチプレス
インクラインベンチプレスを行うためにデザインされた、専用のインクラインプレスマシンを利用して行うバリエーション。
スミスマシンと同じように、バーの軌道が固定されているため、フォームが安定して安全に高重量を扱うことが可能。
また、スミスマシンのように、自分でインクラインベンチをマシンの前にセットする必要もないため、簡単に取り組んでいくことができます。
インクラインベンチプレスのやり方のポイント
インクラインベンチプレスでは、メインターゲットにしたい大胸筋上部へ如何に効かせていくかがポイント。
そのため、まず忘れてならないのが、動作中は常に肩甲骨を寄せたまま、バーベルを上げ下げしていくという点。
肩甲骨を寄せたまま行うことで、大胸筋をストレッチしやすくなる上に、挙上動作でしっかりと大胸筋を使っていくことが可能になります。
また、バーベルやダンベルなどのフリーウェイトで行う場合は特に、背筋も引き締めてしっかりと上背部をベンチのシートにつけ、さらに両足の裏で床を押すようにして力を出し、体を安定させえていくことも、体や腕のブレを抑え、大胸筋上部に効かせるために役立ちます。
そして、下げる時はゆっくりと行って、胸上部にバーベルをバウンドさせないようにし、反動を抑えてコントロールしながら、バーベルを挙上していくようにしましょう。
インクラインベンチプレスのやり方のポイントまとめ
- 動作中は常に肩甲骨を寄せたまま挙上動作を繰り返す
- フリーウェイトを利用する場合は特に、体のブレを抑えることが大切
- 上背部をシートにしっかりと固定し、足裏で床を踏みしめていく
- バーベルを下げる際には胸の上部へバウンドさせないようにする
- 反動を抑えてコントロールしながらバーベルを挙上していく
インクラインベンチプレスのやり方で他にも覚えておきたいこと
インクラインベンチプレスのやり方で、次の事項も覚えておくと何かと効果的かと思うので、確認しておきましょう。
- インクラインベンチプレスでは、通常のベンチプレスより軽い負荷を扱うことになりますが、高重量が扱えないからと焦らず、ゆっくりと重量を増やしていくようにしましょう。まずはテクニックの学習が大切です。
- バーを上げるのではなく、自分の体をバーから押すイメージで行ってみると、力が出しやすく感じることがあります。
- フリーウェイトのインクラインベンチプレスで追い込んでいく際には、必ずセイフティーラックを利用したり、スポッター(補助してくれる人)に補助してもらいながら取り組んでいきましょう。
- お尻と肩甲骨は動作中常にベンチにシートにつけておくようにします。
インクラインベンチプレスの筋トレ効果
インクラインベンチプレスでは、大胸筋の中でも鍛えにくい大胸筋上部へ、効果的に大きな負荷を加えられる筋トレ種目。
通常のベンチプレスでは、大胸筋全体に負荷が掛かるものの、肩関節水平内転を体に対して真っ直ぐに行った場合、大胸筋の中央付近を横に通る腱を境に下側を比較的よく使うため、それだけでは上部を十分に発達させるのが難しかったりします。
そこで、通常のベンチプレスに加えてインクラインベンチプレスに取り組むことで、大胸筋を満遍なく鍛えて、形の良い胸板を手に入れることにつながってくる。
結果として、どの角度から見ても大きく盛り上がった分厚い胸板を手に入れられることになり、特にボディメイクにおいて逞しい大胸筋を手に入れたいと考えている人にとっては優れた効果を期待していけると言えます。
また、インクラインベンチプレスでは、斜め上方へ押す動作を繰り返していくため、筋トレの特異性(トレーニングの効果が取り組んだ特定の動作に見合った形で現れる現象)を考えた場合、例えば砲丸投げのような、腕を斜め上方へ押し出していく運動においては、そのパフォーマンスを高める効果が高いと言えるかと思います。
インクラインベンチプレスの注意点
インクラインベンチプレスは、通常のベンチプレスと同じ関節動作を起こしていくものの、体の角度が変わるため、通常のベンチプレスと同じ感覚で行わないように注意しておくことが大切。
具体的には、体がインクラインの状態で斜めになっているため、通常のベンチプレスのように、胸の辺りにバーベルを下ろしていこうとすると、疲労して手が滑った場合などに、腹の方へバーを落下させてしまうリスクが高まるので危険。
そのため、必ず胸の上部または鎖骨付近を目安に、通常のベンチプレスよりも高めの位置にバーを下ろしていきましょう。
まずは、正しいフォームを軽めのウェイトで繰り返し、覚えていくことに時間を掛けていきましょう。
インクラインベンチプレスの効果とやり方|角度を変えて大胸筋上部を鍛える筋力トレーニングのまとめ
インクラインベンチプレスの効果ややり方について見てきました。
インクラインベンチプレスは、通常のベンチプレスでは完璧に鍛えるのが難しい、大胸筋上部へ高い効果がある筋トレ種目。
通常のベンチプレスに加えることで、大胸筋を満遍なく肥大させて、パーフェクトチェストを手に入れるためにもおすすめです!