リバースカールのやり方と効果を見ていきます。
上腕二頭筋の関与を抑えて上腕筋や前腕の腕橈骨筋へ効かせていくトレーニング方法です。
リバースカールのやり方と効果について理解していますか?
腕に効果のある筋トレに取り組んでいて、腕っぷしには自信があるという方、ちょっと上腕筋を指差してみてください。
力こぶの所を指差した人、それは上腕筋ではなく上腕二頭筋です!ちょっと意味がわからないと思った場合、「上腕筋」の存在を知らないのかもしれませんね。
上腕筋は上腕二頭筋よりも深い所にあり、肘の屈曲に作用する筋肉。スポーツでは頻繁に使われている上に力こぶや腕の厚みをつくるのに欠かせない、重要な役割を持っている筋肉です。
しかし、その名前のせいか、上腕二頭筋の言い間違えのように思われてしまい、存在が薄くなてしまっていたりします。
今回は、名実ともに奥に隠れてしまっているけれど実は結構重要な上腕筋に加え、前腕の腕橈骨筋を強化するためにも効果が高いリバースカールについて、やり方や効果を詳しく紹介していきます。
- リバースカールとは?【概要】
- リバースカールのやり方
- リバースカールのポイント
- リバースカールの筋トレ効果
- リバースカールの注意点
- リバースカールやり方と効果|上腕筋や前腕の腕橈骨筋の鍛え方!上腕二頭筋を抑えて力こぶを底上げしとく?のまとめ
リバースカールとは?【概要】
リバースカールとは、肘関節を曲げる動きで、手に握ったウェイトを挙上していくバイセップカール(又はアームカール)のバリエーションの一つ。
通常のダンベルカールやバーベルカールとは違い、グリップを順手(手のひらが下を向いた形)にしたまま、肘を曲げる肘関節屈曲を行い、ウェイトを挙上していくトレーニングです。
手のひらを下に向けたまま肘関節屈曲を行うことで、肘関節屈曲の主力筋である上腕二頭筋の関与を抑え(※動作の最後の部分では関わってくる)、代わりにその他の主働筋である上腕筋と、前腕の前面外側に位置する腕橈骨筋の関与を強めていくのが特徴(※上腕二頭筋の関与が抑えられる理由は「筋トレ効果」の部分で後述)。
そのため、同じ肘関節屈曲を行うバイセップカールの一種でありながら、ダンベルカールやバーベルカールと比較して、上腕二頭筋ではなく、その深層にある上腕筋や前腕を鍛える筋トレとして分類されることが多い筋トレ種目になります。
このリバースカールは、バーベルやダンベルといったウェイトがあれば、難しいフォームやテクニックは必要なく開始でき、初心者からでも気軽に取り組むことが出来る筋トレ方法。
そして動作の中では、肘関節の動作のみが含まれるため、一つの関節動作とそれに伴う限られた筋肉が関与する単関節種目(アイソレーション種目)の筋トレとして、分類されることになります。
リバースカールのまとめ | |
---|---|
運動のタイプ | 筋力トレーニング |
筋トレタイプ | アイソレーション |
筋トレレベル | 初級 |
力の出し方 | 引く力 |
必要な道具 | ダンベル又はバーベル |
メインターゲット筋肉 | 上腕筋・腕橈骨筋 |
リバースカールのやり方
リバースカールのやり方には、ダンベルを利用した方法とバーベルを利用した方法が最も広く行われているやり方になりますが、その中でもより一般的な、バーベルを利用したやり方について、ここでは解説していきます。
まず、両手の幅を肩幅程度にして、順手でバーベルを持ち、体の前に両腕を伸ばした状態で直立します。この順手(つまり手の平が下を向いた状態)というのが上腕筋に効かせるにはとても大切です。
肘は出来るだけ胴体に近づけるようにしておき、背筋は伸ばしておきましょう。
これでセット完了です。
その順手のまま、上腕筋を収縮させて肘を曲げ、前腕のみを動かしてバーベルを肩の高さ程度まで持ち上げていきます(上げていく時には息を吐きながら行い、肩の高さまでいったらそこで少しの間静止してみましょう)。
そして息を吸いながら、肘を伸ばしてゆっくりとバーベルを元のポジションへ降ろし、繰り返していきます。10~15回×3セットを目安に行っていきましょう。
リバースカールのやり方まとめ
- 両手の幅を肩幅程度にして順手でバーベルを持って直立します両腕は体の前に伸ばしておきましょう(バーは体に当たらないようにしておきます)
- 手の平が下を向いた状態(順手)にしておくというのが上腕筋に効かせるにはとても大切なので忘れないようにしてください
- 肘は出来るだけ胴体に近づけるようにしておきます
- 背筋は伸ばして、目線は正面に合わせておきましょう
- これがスタートのポジションです
- 順手のまま上腕筋を収縮させて肘を曲げ、バーベルを上げていきます
- 上腕は固定して前腕のみを動かしていくようにしましょう
- バーベルは肩の高さ程度までを目安に持ち上げていきます
- 肩の高さまで上げたらさらに上腕の筋肉を収縮させて1秒程度静止すると、効果が高まります
- 息は吐きながら行っていきましょう
- その後、肘を伸ばしてゆっくりとバーベルを元のポジションへ下ろしていきます
- 息は吸いながら行っていきましょう
- この動作を必要な回数繰り返していきます
- 10~15回×3セットを目安に行っていきましょう
リバースカールのバリエーション:ダンベルやその他ウェイトを利用してみる
リバースカールはバーベルを利用する方法以外にも、ダンベルを利用して行う(リバースダンベルカール)のも一般的。
また、もしもバーベルやダンベルが無かったとしても、代わりに別なものをウェイトとして利用して行ってみることだって可能。
例えば、ダンベルやバーベルに付けるプレートを利用して行ってみるなんていうのも、一つの方法。
利用できるものであれば、どのような物もウェイトとして利用していくことが出来ますが、上腕筋や前腕の腕橈骨筋に効かせていくためには、必ず手のひらが下を向いた状態を維持して挙上していくことを忘れないようにしましょう。
ちなみにプレートで行う場合、その筋トレの名称はリバースプレートカールと呼ばれることになります。
リバースカールのポイント
リバースカールは上腕二頭筋の関与を抑えた形で、その深層にある上腕筋や前腕の腕橈骨筋へ効かせていけるのが特徴であり、その特徴を活かしていくことが、リバースカールのやり方において大切なポイント。
しかし、上腕二頭筋の関与を抑えた結果、扱える負荷が小さくなってしまうといったことが起こってくることに。
そのため、通常のバイセップカール(バーベルカールなど)でギリギリ扱える重さをリバースカールで利用すると、肩の三角筋や体幹の筋肉など、他の筋肉まで動員して無理にウェイトを挙上してしまうことがよく起こります。
一方、効果を最大限に引き上げるには、肘関節屈曲に関与する筋肉以外を極力使わないようにすることが大切。
したがって、肩関節を前方へ動かす肩関節屈曲や、胴体を反らす体幹伸展の力を使わないためにも、最初は軽めのウェイトから始めていくようにし、動作中は肘の位置を固定して行っていくようにしましょう。
また、ウェイトを下ろす際は、上腕筋の緊張を保ったままゆっくりと下ろすようにすることも、効果を高めるには大切なポイント。
特に上腕筋や腕橈骨筋でウェイトを支えることに慣れていない場合は、ウェイトを勢いよく下げてしまいがちなので気をつけましょう。
さらに、バーベルを利用したリバースカールは、ストレートバーとEZバーのどちらでも行うことが出来ますが、バーの角度によって手首の角度が変わり、効き方が変わってきます。
これは、個人の手首の可動性(※人によって違いがある)などに合わせるのがベストなので、より刺激の入りやすい方を選ぶようにすると、さらに成果が得やすくなります。
リバースカールのポイントまとめ
- 上腕筋や腕橈骨筋を使っていくことが大切
- 無理な重さの重量を利用して、他の筋肉の関与が加わらないように注意する
- 動作中は肘の位置を固定して行うように心がける
- ウェイトを下ろす際は、上腕筋の緊張を保ったままゆっくりと下ろす
- バーベルを利用するならストレートバーとEZバーのうちより刺激が入る方を選ぶ
リバースカールのやり方で他にも覚えておきたいこと
リバースカールのやり方で、次の事項も覚えておくと何かと効果的かと思うので、確認しておきましょう。
- 動作中は必ず胴体も固定しておくようにし、胴体を反らして反動をつけたりしないようにしましょう。
- 上腕筋や腕橈骨筋に効かせにくいと感じた場合は、上体をやや前傾(5度程度)させて行ってみましょう。こうすると、挙上する際に最後まで負荷が抜けにくくなります。
リバースカールの筋トレ効果
リバースカールは、手の平を下にして上腕二頭筋の関与を抑えながら腕を曲げていくことにより、肘関節屈曲に関与する上腕筋と、前腕の腕橈骨筋に集中的に効かせられるといった特徴的な効果を持つ筋トレ方法。
また上腕二頭筋も関与は弱まりますが、最後の方で刺激が入るため、上腕二頭筋にも少なからず効果があります。
腕の筋肉と言えば、上腕二頭筋と上腕三頭筋がフォーカスされがちですが、上腕筋は力こぶのベースを作り、上腕の厚みを出していくためには欠かせない筋肉。また、正面からみた時に、上腕の肘よりの部分に幅を出していくためにも大切だったり。
さらに、腕橈骨筋は前腕に位置する筋肉としては最も大きい筋肉の一つ。
そのため、「力こぶを大きくしたい!」、「上腕を太くしたい!」、「腕全体をぶっとくしたい!」といった目的には非常に効果が高い筋トレであると言えるかと思います。
そして運動機能面で見ると、上腕筋や腕橈骨筋は柔道やロッククライミングなど、肘の屈曲を使うあらゆるスポーツにおいて重要な筋肉。
しっかりと鍛えれば、これら運動におけるパフォーマンスの底上げをサポートしてくれます。
【リバースカールで上腕二頭筋の働きが弱まる理由】上腕筋と上腕二頭筋の違いについての簡単な実験から導き出してみる
手のひらを下にした形で行うリバースカールでは、なぜ上腕二頭筋の関与が弱まるのか気になっている人も多いはず。
そこで、ここでは簡単な実験を元に、その理由を見ていきたいと思います。
次の動作を行って見てください。
- 手の平を逆手(手の平を上に向ける)にして肘を曲げ、力こぶを触ってみる
- 手の平を順手(手の平を下へ向ける)にして肘を曲げ、力こぶを触ってみる
すると、力こぶの頂点部分の緊張が、次のように違うことが分かると思います。
- 手の平を上へ向けて(逆手)肘を曲げる
- →力こぶの頂点部分がより緊張して硬くなる
- →上腕二頭筋が主に使われている
- 手の平を下へ向けて(順手)肘を曲げる
- →力こぶの頂点部分が比較的緊張しない
- →上腕筋が主に使われている
これは、前腕を外側に捻る回外(手の平を上に向ける動作)に対して、上腕二頭筋が収縮して関与するというのがその理由。
つまり見方を変えると、前腕を外側に捻る回外とは逆の回内(手の平を下に向ける動作)の場合、上腕二頭筋は弛緩するという性質があるため、前腕が回内したまま肘関節を屈曲しても、トップポジション手前までは、上腕二頭筋がほとんど収縮しなくなってしまうということ。
一方、上腕筋は前腕の回旋運動には関与しない純粋な肘関節屈曲の筋肉であり、腕橈骨筋は前腕の回外と回内の両方に関与しているため、手の平を下に向けて肘関節屈曲を行っても、この二つの筋肉は関与したままになるのに対し、上腕二頭筋は関与を弱めてしまうという現象が起こってくるのです。
リバースカールの注意点
リバースカールは順手でバーベルを握るため、フィニッシュポジションやバーベルを下ろす際の落下には注意しましょう。
また、再三になりますが、動作は肘関節の屈曲だけを行っていくことが大切。
起こりがちなこととして、肩関節も関与することで肘が前後に動き、肩の運動になってしまうことがあります。
そのようなミスを防ぐためにも、脇は閉めてウェイトを持ち上げていくようにしましょう。
リバースカールやり方と効果|上腕筋や前腕の腕橈骨筋の鍛え方!上腕二頭筋を抑えて力こぶを底上げしとく?のまとめ
リバースカールのやり方と効果を見てきました。
実際に筋トレすると分かると思いますが、リバースカールで鍛えられる上腕筋や腕橈骨筋、女性がよく「カッコいい」という、腕のパーツ(シャツをまくり上げた時に見える部分)のサイズ感を左右します。
力こぶと同じぐらい腕のカッコよさを決めるパーツなので、忘れないようにこの上腕筋と腕橈骨筋の鍛え方を、筋トレメニューに取り入れて鍛えていきましょう!