ルーマニアンデッドリフトのやり方と効果について見ていきます。
ハムストリングを鍛える筋トレとしてとても効果が高い、下半身を中心に体幹までも鍛える筋トレ種目です。
ルーマニアンデッドリフトのやり方や効果を見ていきましょう。
毎日を仕事やらなんやらで忙しく過ごしていると、忙しさにかまけて筋肉を甘やかしがち。
特にデスクワーク中心の場合、長時間、椅子に座りっぱなしなはず。そして、そんな状況に陥っているなら注意しておきたいのが下半身の裏側。
下半身の筋トレを全くやらないで、ただ毎日椅子に座っていると、下半身の裏側の筋肉は衰え、締りの無い脚になったり、女性の場合は考えたくもないであろう、ヒップラインの崩壊が始まってきます。
また、下半身の筋肉が弱ることで血流が滞ると、脂肪がつきやすくなるのはもちろん、セルライトの原因にもなりかねません。
そこで、下半身の裏側の筋肉を中心に、腰の筋肉の強化にも効果的な、ルーマニアンデッドリフトという筋トレに取り組んで、衰えた筋肉を叩き起こしていきましょう。
今回は、ルーマニアンデッドリフトのやり方や効果を詳しく解説していきます。
ルーマニアンデッドリフトとは?【概要】
ルーマニアンデッドリフトとは、筋トレのBig3としても有名な、全身を鍛えるデッドリフトの一種。
1984年のロサンゼルスオリンピック重量挙げ90kg級のチャンピオン、ルーマニア出身のNicu Vladが、体を鍛えるために取り組んでいたことからその名前がつけられた筋トレ種目。
通常のデッドリフトでは、地面に置いたバーベルを腰を落として握り、股関節を伸ばす股関節伸展に加えて、膝関節を伸ばす膝関節伸展の力も使ってバーベルを挙げ、最後にそのバーベルを地面に戻すところまでを一つの動作と見なします。
一方、ルーマニアンデッドリフトでは、膝を伸ばし気味(※完全に伸ばすわけではない)にして膝関節伸展の動きを最小限に抑え、ほぼ股関節伸展の力のみでバーベルを上げていき、さらに戻る動作ではバーベルを地面に付けないようにします。
そのため、本来デッドリフト(dead lift/死の挙上)と言うのは、地面に置かれて動かない(つまり「死んだような」)バーベルを挙上していくことが語源となっていることを考えると、「厳密」にはデッドリフトとはならないものの、大半の動作が重なるため、デッドリフトの一種として認識されている筋トレ種目です。
主に股関節伸展の力が上体を起こす動きのほとんどを担い、太もも裏のハムストリングをストレッチした状態で強い負荷を掛けることになるため、そのハムストリングがメインターゲットとして鍛えられていくのが特徴。
そして、他にも通常の股関節伸展では主力筋として活躍するお尻の大臀筋や、動作の中で背すじを伸ばしておくためにも、背中の脊柱起立筋がサブターゲットとして鍛えられることになります。(※膝関節伸展も多少含まれるため、太もも前面の大腿四頭筋も使うが、言及するほどの効果はない)
このルーマニアンデッドリフトは、取り組む上でバーベルやダンベルが必要であり、出来れば専用のスペースで行うのが望ましく、またテクニックやフォームの習得もそれなりに時間を掛ける必要があるため、中級者向けの筋トレ種目と言えます。
また、動作の中では股関節伸展が中心となるものの、他にも膝関節伸展も含まれたりと、二つ以上の関節動作とそれに伴う複数の筋肉が関与するため、多関節種目(コンパウンド種目)の筋トレとして分類されることになります。
ルーマニアンデッドリフトのまとめ | |
---|---|
運動のタイプ | 筋力トレーニング |
筋トレタイプ | コンパウンド |
筋トレレベル | 中級 |
力の出し方 | 引く力 |
必要な道具 | バーベル又はダンベル |
メインターゲット筋肉 | ハムストリング |
ルーマニアンデッドリフトのやり方
ルーマニアンデッドリフトのやり方には、バーベルを利用したやり方からダンベルを利用したやり方など、幾つかのバリエーションがありますが、ここでは最も一般的な、バーベルを利用したルーマニアンデッドリフトのやり方について解説していきます。
始めに、バーベルの前に背すじを伸ばして立ちます。足幅は腰幅以下にしておきましょう。
背すじを伸ばしたまま、上半身を前傾していき、バーを握ります。この時、膝は伸ばし気味にして太もも裏を伸ばしておきましょう。
そして、胸を張って背すじを伸ばしたまま、股関節伸展の力で上体を起こしてバーベルを持ち上げたらセット完了です。
お尻を後ろへ出来るだけ突き出すように動かしながら、股関節を曲げていき、バーベルを下げていきます。
この際、バーベルは出来る限り体の側を通るようにし、バーベルが床に着くギリギリ手前のところまで上体を前傾させていきます(上体が床に対して水平になる程度)。
その後、股関節伸展の動きで再び上体を上げていき、動作を繰り返していきます。
8~12回×3セットを目安に行っていきましょう。
ルーマニアンデッドリフトのやり方
- バーベルの前に背すじを伸ばして立ちます
- 足幅は腰幅以下にしておきましょう
- 上体を前傾させていき、バーベルを握ります
- 手幅は肩幅程度にして順手で握り、背すじは伸ばしておきます
- 膝は伸ばし気味(軽く曲げる)にして太もも裏を伸ばしておきましょう
- 股関節伸展の力で上体を起こしてバーベルを持ち上げていきます
- 胸を張って背すじは伸ばしたまま行います
- 顔は正面か斜め下を見るようにして、肩は後ろへ引いておきましょう
- 体にバーを擦り付けるような感じでバーベルを引き上げていきます
- これがスタートのポジションです
- 股関節を曲げてバーベルを下げていきます
- お尻を後ろへ出来るだけ突き出すように動かしながら行っていきましょう
- 上体が床に対して水平程度になるまで、またバーベルは床につく手前ギリギリのところまでが目安です
- 膝も多少曲げていきます
- 正しく行った場合、バーベルが膝下へ来たあたりで、ハムストリングが最大限にストレッチされるはずです
- その後、股関節伸展の動きで再度上体を起こしていきます
- 8~12回×3セットを目安に繰り返していきましょう
ルーマニアンデッドリフトのバリエーション
ルーマニアンデッドリフトのバリエーションの一つとして、バーベルではなくダンベルを利用して行う、ダンベルルーマニアンデッドリフトがあります。
基本的なやり方や効果はバーベルを利用したルーマニアンデッドリフトと変わらないため、自宅にダンベルがあるけどバーベルがないなんて場合は、このダンベルルーマニアンデッドリフトに取り組んで、ハムストリングを強化すると良いかと思います。
ルーマニアンデッドリフトのポイント
ルーマニアンデッドリフトは膝を伸ばし気味のままバーを下ろすことで、下半身の筋肉、特にハムストリングに高負荷を掛けたまま、強烈にストレッチしていくのが最大の特徴。
そのため、ハムストリングへの負荷を逃がさず、しっかりとストレッチさせることがポイントになります。
コツとしては、膝を伸ばし気味にする以外にも、胸の張りをしっかりと維持して背中を伸ばしておくこと。
これにより、ハムストリングに負荷を集中させやすくなり、腰を痛めてしまうリスクを抑えることも出来ます。
また、ハムストリングに効かせるためには、お尻を突き出していくもポイント。
バーベルを下ろして行く際は、気持ちとしてはお尻を斜め後ろへ突き上げていくようなイメージを持つと良いかと思います。
ルーマニアンデッドリフトのポイントまとめ
- バーを下ろした際に、ハムストリングを出来る限りストレッチする
- 動作中は胸の張りをしっかりと維持して姿勢を正しておく
- バーを下ろしていく動作では、お尻を突き出していくことも大切
- お尻を斜め後ろへ突き上げていくようなイメージを持つ
ルーマニアンデッドリフトのやり方で他にも覚えておきたいこと
ルーマニアンデッドリフトのやり方で、次の事項も覚えておくと何かと効果的かと思うので、確認しておきましょう。
- バーを下げる際は、出来るだけバーベルが体の側を通るようにしていきましょう。
- 目線は正面からやや斜め下の間に合わせておくようにして、上を向かないようにしましょう。目線が上を向くことで首が大きく反り、頚椎を炒めてしまうリスクが高くなります。
- バーベルを引き上げる際は、腕や肩の筋肉の力ではなく、必ず股関節伸展の力で上げるようにしてください。
ルーマニアンデッドリフトの筋トレ効果
ルーマニアンデッドリフトはハムストリングを中心に、下半身の裏側を鍛える効果が非常に高い筋トレ種目。
そのため、下半身のシェイプアップやヒップアップの効果が期待できるので、特に下半身を綺麗に整えたいといった女性には、ボディメイクの点でとてもおすすめ。
もちろん、太もも裏を鍛えておきたいなんていう男性にとっても、効果的なトレーニングであることは間違いなし。
また、サブターゲットではあるものの、刺激が加わるお尻の大臀筋は、人体で単一の筋肉としては最大の大きさを誇る筋肉。
さらに、ハムストリングも比較的大きな筋肉であるため、ルーマニアンデッドリフトを行うと比較的筋肉量を増やしやすく、基礎代謝の向上によりダイエットしやすい体へ肉体改造することが出来るとも言えるかと思います。
そして、運動機能面においては、ハムストリングを強化する点から考えると、ジャンプやダッシュといった、下半身の瞬発力発揮が必要なスポーツ競技において、パフォーマンスを押し上げる効果を期待できます。
ルーマニアンデッドリフトの注意点
ルーマニアンデッドリフトでよくある失敗は怪我によるトラブル。
特に大きな負荷が掛かった状態で上半身を前傾させていく動作では、腰に大きなストレスがかかり痛めやすい。
この腰のケガを防ぐためにも、動作の終始、胸の張りをしっかりと維持し、背すじを自然な形で伸ばしておくことが大切。
また、その際には、出来る限りお腹周りにも力を入れて、体幹を引き締めておきましょう。
さらに、ハムストリングへの負担も最初のうちは気にする必要があったり。
ハムストリングは通常の生活ではそこまで強烈に使わない筋肉であるため、高重量のウェイトを使った筋トレで動かすことにより、筋肉がびっくりして、つってしまうなんていう可能性もあります。
特に、ハムストリングは肉離れが起こりやすい筋肉であるため、注意しておくことが無難。
そのため、最初は様子見として、軽いウェイトを利用してハムストリングを慣らしていきましょう。
また、動作開始時のセットを丁寧に行うこともポイント。
姿勢が整っていない状態で焦って始めるのではなく、丁寧にセットをしてから動作を開始しましょう。
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ルーマニアンデッドリフトのやり方と効果|ハムストリングを鍛える筋トレ!腰や背中にも効いてダンベルでも可能!のまとめ
ルーマニアンデッドリフトのやり方や効果を見てきました。
このルーマニアンレッドリフトはデッドリフトのフォームを変えて、さらにハムストリングを集中して鍛えるように考えられた筋トレ。
そのため、下半身の裏側への効果がとにかく抜群。筋トレの最中に、太ももの裏側からヒップにかけて、大きな刺激が入るのがわかります。
また、握力が弱い人は、パワーグリップやグローブなどを使うと、バーが手からすり抜けるのを防ぎやすくなるためにおすすめ。
さらに、グリップはサムレスグリップ(親指を外すグリップ)で行うと、体の背面の筋肉群に刺激を送りやすくなるので覚えておくと良いかと思います。
早速、このハムストリングを鍛える下半身の筋トレ「ルーマニアンデッドリフト」に取り組んで、眠っている下半身の裏側を叩き起こしましょう!