筋トレをしている方なら、おそらく一度は経験しているであろう体のトラブルと言えば「腰痛」や「坐骨神経痛」ではないでしょうか。そして、それらを改善するために、マッサージや整体に通い詰めたご経験はありますせんか?
そして、それと同じくして、当日は痛みが緩和されたのに、またすぐに元通り・・というご経験もないでしょうか。実は、多くの方が腰痛や坐骨神経痛に対する、改善方法を誤って認識してしまっているかもしれません。マッサージや整体は筋肉のリカバリーに重要ですが、腰痛や坐骨神経痛は一時的なケアではなく、根本的な改善が必要です。そして、根本的な改善と、インナーマッスルを鍛えることにあったりします!
今回はインナーマッスル(記事内では深層筋という表現を使うこともあり)の筋トレによる、腰痛や坐骨神経痛に対する根本的改善のアプローチをご紹介します。
腰痛や坐骨神経痛の改善に対するインナーマッスルの筋トレ効果
腰痛や坐骨神経痛の改善には、インナーマッスルを鍛えることがカギとなります。ではなぜ、インナーマッスルを鍛えることが重要で、実際にどのような効果が期待できるのでしょうか。その答えは以下の5つでカバーできるかと思います。
(1)胸腰筋膜を緊張させることにより、体幹を安定させる!
腰から背中にかけて筋肉を覆っている、厚く強靭な筋膜を胸腰筋膜といいます。この胸腰筋膜は、わかりやすく言うと、コルセットのようなものです。
腹横筋、腰方形筋、内腹斜筋など、体幹中間層にある筋肉が働くと、この胸腰筋膜を引っ張るようにテンションがかかります。コルセットをギュッと締めるような作用で、腹筋を締めて体幹を安定させます。
つまり、この腹横筋、腰方形筋、内腹斜筋などが弱まると、体幹を支える作用は低下し、体幹が安定しなくなるため、腰痛を引き起こしやすくなるのです。
(2)腹圧を高め、背骨を内部から支えるようにする
「腹圧」をご存じでしょうか?体の中で背骨を支えているのは、背筋や腹筋のみでなく、この腹圧も重要な役割を担います。お腹に力を入れると、腹横筋、横隔膜、骨盤底筋群が一緒に働き、腹圧が高まり、体の内側から背骨の支えを強化します。
体に問題がなければ、通常は(1)でご紹介した通り、胸腰筋膜を緊張させて体幹を安定させる働きと腹圧を高め、背骨を内部から支えるようにする働きが同時に行われます。しかし腰痛があると、これらの働きが弱くなります。さらに、腹圧が弱ければ、背骨への負担が大きくなるため、脊柱管狭窄や椎間板ヘルニア、腰椎分離すべり症などの原因となってしまい、腰痛を悪化させる原因となってしまう可能性があります!
(3)背骨をつなげる
私達の背骨は、一本の骨ではなく、ブロック状の椎骨で構成されています。
そして、それぞれの椎骨の間には、絶えず動きによる前後、左右、捻じれといった負荷がかかっており、これを剪断力(せんだんりょく)といいます。この剪断力に対抗する力がなければ、背骨はちぎれてバラバラになってしまいます。そこで靭帯やまわりの深層筋群たちがすべり止めとなり、背骨をまとめています。つまりインナーマッスルが背骨をつなげていると言っても過言ではないかもしれません。
ちなみに椎間板ヘルニアなどでは、この靭帯やまわりの深層筋群が上手く機能しなくなっています。
(4)姿勢を保つ。体の動きを調整する
剪断力に抵抗し、背骨をつなぎとめている靭帯やまわりの深層筋群には、正しい姿勢を保ったり、体の動きを調整するために、背骨の動き、位置を感知する固有受容器という器官があります。
固有受容器は、感知した情報を脳に送ります。すると、脳は姿勢を正しく保ったり、スムーズな動きができるように体の動きをコントロールします。
腰痛になるとこの機能は低下してしまうため、正しい姿勢を保てなくなったり、スムーズで正しい動きができなくなったりしてしまうのです。
(5)背骨へかかる重力の負荷を軽減する
腰痛の原因として、重力による負荷が背~腰に集中するということがあります(地球で生活している以上避けて通れないですね。。。)。その根本の原因は、インナーマッスルが強化されていないことから来る、姿勢や骨盤の歪みです。特に、腹筋と背筋の弱ったりして姿勢や骨盤に歪みがでると骨盤を後方に傾かせてしまいます。この状態では、背骨が湾曲してそこに上方からの重力がのしかかり、腰痛の原因となります。
このように、腰痛や坐骨神経痛は、体の姿勢や背骨の位置を支えている深層筋群の働きが弱まることが原因となっています。そのため、マッサージなどの一時的なものではなく、これらの深層筋(インナーマッスル)を筋トレで鍛えることが、腰痛の根本的な改善や再発防止につながるのです!
腰痛や坐骨神経痛の改善に効くインナーマッスルの筋トレ
腰痛や坐骨神経痛の改善に対し、インナーマッスルの強化が必須というのはご理解頂けましたでしょうか?
それでは、早速、インナーマッスルを鍛える、オススメの筋トレをご紹介します。
コアヌードル大の字ストレッチ
方法
コアヌードルを平坦な場所に置き、その上に仰向けになって寝ます。
足は大きく開き、手も広げてリラックスします。そのままバランスを保ち、静止して保ちます。
鍛えられる部位または筋肉
骨盤のニュートラルポジションの取得。
このエクササイズはインナーマッスルの強化というよりは、骨盤の本来あるべき位置を思い出させるためのトレーニングです。
あらゆるインナーマッスルトレーニングの前にこのエクササイズをすることをおすすめします。
注意点
骨盤のニュートラルポジションというのは、骨盤がまっすぐになった状態です。
この状態をつくるために、特に骨盤が前傾しているタイプの人は、背中が極端に反らないように注意をしましょう。
コアヌードル・前習え
方法
コアヌードルの上に仰向けになり、腹筋に力を入れます。
バランスを保ちながら、足を床から浮かしてひざを90度に曲げます。
次に腕を「前にならえ」の状態にします。このまま、30秒キープします。
鍛えられる部位または筋肉
腹筋を中心とした体幹が鍛えられます。体幹を鍛えることで背骨や内蔵を正常な位置に保ち、姿勢のゆがみを防止します。
注意点
腹筋を含む体幹のトレーニングのため、足や腕を動かす時は、必ず腹筋に力を入れてから動かしましょう。
BBクランチ
方法
バランスボールの上に寝て、足は肩幅より少し広めにし、床を捉えます。
手を頭の後ろで組み、お尻をキュッとしめたらセット完了です。
次に、お尻をしめたまま上半身を起こし、ゆっくりと元に戻します。
鍛えられる部位または筋肉
腹筋の深層部とヒップが同時に鍛えられます。この二カ所を同時に鍛えることで、背骨や内蔵を前と後ろから支えるコルセットの強化ができます。
注意点
動作の終始、お尻が下がってこないようにしましょう。
また、体を戻す時はバランスをキープしながらゆっくり戻してください。
腸腰筋レッグレイズ
ベンチなどにあおむけになり、くるぶしで小さなボールを挟んで、足を90度にまげたらセット完了です。
次にひざを胸に近づけ、腹筋を収縮させます。
腰が少し浮くぐらいで止め、ボールを挟んだまま、足を床と平行に伸ばします。10回×3セットが目安です。
鍛えられる部位または筋肉
下腹を集中して鍛えることができます。下腹を鍛えることは、特に骨盤が前傾タイプの方の姿勢改善に効果的です。
注意点
足を伸ばす時は、力を抜いてしまわず、床と平行になるように伸ばしましょう。
シェイク
バランスボールに腕の前面をつけ、腹筋に力を入れて体を支えます。
一度静止したらセット完了です。その姿勢のままボールを揺らし、バランスを維持します。
鍛えられる部位または筋肉
腹筋全体を含む体幹を鍛えることができます。
体幹を鍛えることで背骨や内蔵を正常な位置に保ち、姿勢のゆがみを防止します。
注意点
ボールを動かしている時も、腹筋の力が抜けないように注意しましょう。
要はインナーマッスルを動かしましょうってことね
まとめ
腰痛や坐骨神経痛は一時的なケアではなく、このような根本的改善が必要だったのです。まさかインナーマッスルの筋トレが腰痛や坐骨神経痛と関係があるなんて、目からウロコだったかもしれないですね!この他にもインナーマッスルを鍛えると、スポーツのパフォーマンスアップやダイエットにも効果的!と、インナーマッスルを鍛えるとオイシイことだらけなので、ぜひ、インナーマッスルの筋トレを始めてみましょう!