シーテッドローイングの効果とやり方について確認していきます。ケーブルマシンやチューブを利用して背筋群を中心に鍛えていくものから、ローイングマシンを利用して全身運動になるものまで紹介していきます。
シーテッドローイングの効果とやり方を紹介していきます。
シーテッドローイングには、大きく分けるとケーブルマシンなどを利用して背筋群を中心に鍛えていく筋トレ種目と、専用のローイングマシンを利用して全身運動になるトレーニングの二つが存在します。
両者とも座位でローイング(肘関節と肩関節を動かして腕を後方へ引く動作)を繰り返していくため、シーテッドローイングと呼ばれますが、詳しく見ていくとそれぞれに特徴があることが分かります。
そこで今回は、「シーテッドローイング」と呼ばれるトレーニングについて詳しくみていく中で、「背筋群を強調したもの」と「全身運動になるもの」の二つについて、それぞれやり方と効果を詳しく見ていきます。
シーテッドローイングの概要
シーテッドローイング又はシーテッドロー(シーテッドロウ)は、基本的には背筋群を強化する筋トレの一種。
座位でケーブルマシンから伸びるロープーリー(下側についた滑車から伸びるケーブル)または専用のマシンのハンドルを握り、肩甲骨を寄せながら腕を後方へ引いていく動作を繰り返すトレーニング。
(背筋群メインのシーテッドロー)
背中の下部から脇の下にかけて広がる広背筋と背中の中央から上部に掛けて広がる僧帽筋の中部と下部をメインターゲットとして鍛え、他にも肩の三角筋(後部)や、肘関節を曲げる肘関節屈筋群(上腕筋など)をサブターゲットとして鍛えていきます。
ただし、「シーテッドローイング」とひとことで言った場合、そこにはケーブルマシン(又は専用のマシン)を利用するもの以外にも、「船を漕ぐ動作を繰り返すローイングマシン」を利用した方法も含まれることになり、その場合は、背筋群だけでなく下半身にも効果のある全身運動になります。
両者の簡単な比較
- 背筋群メインのシーテッドロー
- 膝の角度やお尻の位置は常に固定した状態になる
- 上体は固定するか動かしてもあまり動かさない
- 主に鍛えられる筋肉は次の通り
- 背筋群:広背筋・僧帽筋
- 肩腕周り:三角筋(後部)・肘関節屈筋群
- 全身運動のシーテッドロー(ローイングマシンを利用する)
- シートが動くため膝の角度やお尻の位置は常に変化する
- 上体の角度も同時に変化する
- 主に鍛えられる筋肉は次の通り
- 背筋群:広背筋・僧帽筋・脊柱起立筋
- 肩腕周り:三角筋(後部)・肘関節屈筋群
- 下半身:大腿四頭筋・大臀筋・ハムストリング群
(全身運動のローイングマシンを利用したシーテッドロー)
このシーテッドローイングを行うに当たっては、ケーブルマシンや専用のローイングマシンが必要になるものの、どちらの場合もそこまで難しいテクニックが必要なく、基本的には初心者からでも気楽に取り組める筋トレ種目です。
また、両者とも動作の中では2つ以上の関節動作が含まれるため、複数の関節動作とそれぞれの関節動作に紐付いた多くの筋肉を鍛えていく、コンパウンド種目(多関節種目)のトレーニングとして分類されることになります。
運動のタイプ | 筋力トレーニング |
---|---|
筋トレタイプ | コンパウンド |
筋トレレベル | 初級 |
力の出し方 | 引く力 |
必要な道具 | ケーブルマシン(又は専用のマシン)・ローイングマシン |
メインターゲット筋肉 | 広背筋・僧帽筋・下半身の筋肉群(ローイングマシンの場合) |
シーテッドローイングのやり方
シーテッドローイングには、上でも触れた通り大きく分けると背筋群へ負荷を集中させるものと、全身運動になるものに分けられ、さらに背筋群へ負荷を集中させるものの場合は、「肩甲骨内転メイン」のものと「広背筋メイン」のものがあり、それぞれ一般的に取り組まれることも多いため、ここではその3つのやり方について詳しく解説していきます。
ワイドグリップで広背筋メインにしたシーテッドローイング
広い手幅でグリップを握ることで、腕を後方へ引く際に「肩関節水平外転(水平面で腕を後方に振る動きに起こる関節動作)」が起こり、その肩関節水平外転の主力筋である広背筋への負荷を高めていけるやり方。
また、ケーブルを戻した際に、上体を多少前傾させて広背筋を強くストレッチすることで、その効果を高めることも可能。
広背筋の中でも特に上部への負荷を強調でき、さらに肩甲骨を寄せながら引くことで、僧帽筋へも大きな刺激を入れられます。
- ケーブルマシンのロープーリーにワイドバーを取り付けます
- 両足を専用のフットプレートに乗せて座ります
- 膝を軽く曲げておきましょう
- バーを握ったら両脚に対して直角になるぐらいまで上半身を起こします
- 手幅は肩幅より広げておきます
- この時背中は真っ直ぐが少しアーチを描くようにします
- 肩を後ろへ引き、胸を前方へ張った状態を作ります
- 両腕は伸びている状態です
- これがスタートのポジションです
- 両肘を曲げて胴体の方へバーを引き寄せていきます
- 肩甲骨を引き寄せていく感じです
- 息は吐きながら行っていきます
- その後、ゆっくりと腕を伸ばしていき、スタートポジションへ戻していきます
- 息は吸いながら行っていきます
- 上体が気持ち前傾するようにして、広背筋をストレッチしていきましょう
ナローグリップで僧帽筋メインにしたシーテッドローイング
手幅を狭くし、脇を締めた状態で腕を後方へ引いていくことで、肩甲骨内転(肩甲骨を寄せる動作)の力がより大きく働くことになるため、肩甲骨内転の主力筋である僧帽筋(中部)を強調して鍛えていけるやり方。
また、上体が動かないように固定して肩甲骨内転の動きに集中し、その効果を高めていきます。
脇を締めて腕を後方へ引いていくと、肩関節は伸展(腕を後方に振る動きに起きる関節動作)することになり、その肩関節伸展には広背筋が主力筋として作用するため、広背筋にも大きな負荷を入れながら鍛えていけます。
- ケーブルマシンのロープーリーにVバーを取り付けます
- 両足を専用のフットプレートに乗せて座ります
- 膝を軽く曲げておきましょう
- バーを握ったら両脚に対して直角になるぐらいまで上半身を起こします
- この時背中は真っ直ぐが少しアーチを描くようにします
- 肩を後ろへ引き、胸を前方へ張った状態を作ります
- 両腕は伸びている状態です
- これがスタートのポジションです
- 両肘を曲げて胴体の方へバーを引き寄せていきます
- 上半身は固定して動かさないようにしましょう
- 肩甲骨を引き寄せていく感じです
- 両腕は胴体の直ぐ横に近づけておきます
- 息は吐きながら行っていきます
- その後、ゆっくりと腕を伸ばしていき、スタートポジションへ戻していきます
- 息は吸いながら行っていきます
- この動作をゆっくりと繰り返していきましょう
ローイングマシンを使ったシーテッドローイング
専用のローイングマシンを利用して行うシーテッドローイングは、動作の中で膝関節伸展と股関節伸展が入るため、下半身の筋肉も鍛えていけるのが大きな違い。
また、上体をよりダイナミックに動かしていくため、体幹を反らす動きに作用する脊柱起立筋への効果も加わり、全身運動としての効果が高まります。
さらに、動作を繰り返していくことで、有酸素運動としても利用しやすいのが特徴です。
- ローイングマシンのバーを握って座ります
- 両足はフットプレートに置いておきましょう
- 両膝を伸ばしながら両腕を後ろの方へ引いて、体幹も反らしていきます
- 体はシートと一緒に後方へ移動していくことになります
- 十分にバーを引いたら、膝を曲げて両腕も伸ばして元の体勢に戻っていきます
- 体はシートと一緒に前方へ移動していくことになります
- 以上の動作を繰り返していきましょう
(豆知識)シーテッドローイングのバリエーション
シーテッドローイングは、ケーブルやマシン以外にも、トレーニングチューブやレジスタンスバンドなどを利用して行っていくことが可能。
ジムへ行ったりウェイトにアクセス出来ない際は、背中の筋肉を鍛えるためにも良い方法なので、シーテッドローイングの一つのバリエーションとして、チューブローイングについても頭に入れておきましょう。
シーテッドローイング(シーテッドー)のポイント
シーテッドローイング(シーテッド)は、背筋群を強調して行うシーテッドローイングと、全身を使うシーテッドローイングによってそのポイントも異なってきます。
背筋群を強調したシーテッドローのポイント
背筋群を強調したシーテッドローの場合、背筋を強く伸張・収縮させるのが大切。
そこで抑えておくべきポイントが、腕を伸縮させる動作においては、一緒に上体を大きく動かし過ぎてしまわないこと。
バーを引く際は肩甲骨を寄せるようにし、戻す際は体が極端に前傾しないようにしましょう。
ワイドグリップの場合、バーを戻す際に上体が多少前傾することになるものの、あくまでも広背筋がストレッチされるまでを目安にして、基本的には常に姿勢を保つように意識しながら、広背筋や僧帽筋の伸張と収縮を感じるようにしていきます。
またバーを引く際、上体が後ろへ後傾してしまう原因の一つに、ウェイトの設定が重すぎるというものがあります。上体が後傾しなくても十分にバーを引けるように、ウェイトの重さは適度に調整していきましょう。
特に、引く動作の中で上体が後傾しすぎると広背筋に効かなくなるので注意が必要です。
背筋群を強調したシーテッドローのポイントまとめ
- 腕を伸縮させる動作では一緒に上体を大きく動かし過ぎないようにする
- バーを引く際は肩甲骨を寄せるようにする
- バーを戻す際は体が極端に前傾しないようにする
- 基本的には上体の姿勢は常に保つように意識する
- ワイドグリップの場合は、バーを戻していく際に上体が多少前傾することになるものの、あくまでも広背筋がストレッチされるまでを目安にする
- 特に、引く動作の中で上体が後傾しすぎると広背筋に効かなくなるので注意
- ウェイトの重さは適切に調整していく
ローイングマシンを利用したシーテッドローのポイント
ローイングマシンを利用したシーテッドローの場合、全身運動であることを頭に入れて取り組んでいくことが大切。
そのためにも、バーを引く時は腕の力だけで引くのではなく、下半身も含めた全身で引っ張っていくのがポイントです。
また、バーを引く動作をスムーズに行い効果を高めていくためにも、次の3つのステップを抑えて、取り組んでいくようにしましょう。
- 脚に力を入れてフットプレートを押すことから始める(ステップ1)
- この時背中は真っ直ぐにしていく
- 両足の幅は肩幅程度にしておく
- 股関節を支点にして、前傾した上体を起こしていく(ステップ2)
- 引き続き背中は真っ直ぐにしておく
- この時点ではまだ膝は完全に伸びきっていない
- 肩甲骨を寄せて両肘を後ろへ引き寄せていく(ステップ3)
- 背中は気持ち反らしていく
- ケーブルはお腹の前に来るぐらいまでを目安に引いていく
- 膝は伸びていく
ローイングマシンを利用したシーテッドローのポイントまとめ
-
- 全身運動であることを忘れない
- 下半身も含めた全身の力でバーを引っ張っていく
- 3つのステップで動かしていく
- ステップ1:脚に力を入れてフットプレートを押すことから始める
- ステップ2:股関節を支点にして、前傾した上体を起こしていく
- ステップ3:肩甲骨を寄せて両肘を後ろへ引き寄せていく
シーテッドローイング(シーテッドロー)の筋トレ効果
シーテッドロー(シーテッドロウ)は、マシンを使った筋トレの中でも一度に様々な筋肉を鍛えることができる筋トレ種目。
ただ、背筋群を強調したシーテッドローイングと全身運動のシーテッドローイングでは、その期待出来る効果も変わってきます。
背筋群を強調したシーテッドローの効果
背筋群を強調したシーテッドローの場合、背筋群の中でも体積の大きい広背筋と僧帽筋を中心に鍛えていくことが可能。
この二つは特に、背中の形を形成している重要な背筋群であるため、シーテッドローを通して、男性であれば逞しい背中を目指せたり、女性であれば引き締まった美しい背中を作る効果を期待出来ます。
ワイドグリップで広背筋への比重を高めれば逆三角形の背中を、そしてナローグリップで僧帽筋への比重を高めれば、背中の厚みを出すために効果的になってきます。
また、これら背筋群を強化していくことは引く力の強化にも繋がるため、柔道などの組み技で相手を引き付ける動きや、ボートのオール漕ぎ、他にも弓道で弓を引く動作などを安定させたりパフォーマンスアップすることにつながってきます。
全身運動のシーテッドローの効果
ローイングマシンを利用したシーテッドローの場合、背筋群も使うため、背筋群を強調したシーテッドローと同じような効果も多少ありますが、どちらかと言えば、動作を続けることで以下の効果をより期待していけるかと思います。
- 心肺機能強化
- 持久力向上
- 脂肪燃焼アップ
- 全身の引き締め
このように、ローイングマシンで行うシーテッドローは、いわゆるウェイトトレーニングとは違い、どちらかというと有酸素運動寄りの効果に優れたトレーニングになります。
シーテッドローイング(シーテッドロー)の注意点
シーテッドローは、背筋群を強調したやり方にしろ全身運動のやり方にしろ、重すぎるウェイトを利用してしまうことが起こりやすいトレーニング。
すると、背筋群を強調したやり方の場合、本来後傾させるべきでない上体を反らすことで脊柱起立筋の関与が強まり、広背筋や僧帽筋への効果が半減してしまったり、全身運動のやり方の場合、ステップがバラバラになって効果的に全身の筋肉を使っていないなんてことになりかねません。
無理をせず、適正な重量を使って正しいフォームで取り組んでいくようにしましょう。
バーを握るならグローブがあった方がいいよ
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シーテッドローイングの効果とやり方|マシンやチューブで背筋を強調したやり方から全身運動のやり方までのまとめ
シーテッドローイング(シーテッドロー)の効果とやり方について見てきました。
シーテッドローイングには、大きく分けて背筋群を強調した方法と、全身運動になる方法があります。
自身の目的や目標に合わせてそれぞれを使い分けていけば非常に効果的なので、今後のトレーニングのためにも覚えておきましょう!